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わがメーリング・リストからの引用 (12)



 主催者(oha)さんの投稿  「静かなアメリカ人」 (2003.04.01)


【加藤周一ML】 《みずからの善意または正義を疑わない個人乃至国家の行動が、多くの人命を犠牲に するということ・・・・『静かなアメリカ人』の主題は、まさにそのこと以外のもの ではなかった。》(「善意ということ」: 夕陽妄語 1991 ) グレアム・グリーンの「The Quiet American」(邦題「おとなしいアメリカ人」) は、1955年の作品。 近頃これが映画化 href="http://mail.excite.co.jp/jump/http://www.miramax.com/quietamerican"> http://www.miramax.com/quietamericanされたようだ。 邦訳は1956年。加藤氏は当時、以下のようなコメントを出した。 《・・反米というものではない。そうではなくて、アメリカのなかで生きている原理を 外へもちだすときには、外の人間の身になってもらいたい。抽象的な原理への信念だけがあり、 現場の事情を何も知らない人間が、やたらに他の国をかき回すのは危険だ・・・》 (1956・7・12:毎日新聞) 最近のニューズウイークの記事↓に この小説がまた現れている。 href="http://mail.excite.co.jp/jump/http://www.nwj.ne.jp/public/toppage/20030205articles/TI_sen.html"> http://www.nwj.ne.jp/public/toppage/20030205articles/TI_sen.html 当時のヴィエトナムに米国がもちこんだ「善意」が「民主主義」であり、それを体現するのが、 パイルという「おとなしい」アメリカ人。主人公ファウラーは、彼をからかいまくる。 シニカルなイギリス人ファウラーはグリーン自身?と訳者田中西二郎は考えたようだが、 加藤氏は「ある自由人の死」(1988:夕陽妄語)で、モデルを明らかにした。 加藤氏の長いフランス人の友人、ルネ・ドゥ・ベルヴァルがその人である。詩人として のルネからの聞書きは「パリ 1930年代」(岩波新書)となって結実した。