季刊「BURST HIGH」誌(コアマガジン社)で連載 OUT OF HIGH TIMES ★Vol.01★

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第一回 Vol.01
「解禁」なんていらない。ぼくの気楽な隠居  生活とガンジャのゆるやかな関係について。 高杉弾 Takasugi Dan

             連載開始早々、いきなりこういうことを言うのもナンだが、             ぼくは「大麻解禁」には反対である。              この国がいま、大麻が解禁された方が良い状況になってい             るとは、ぼくにはまるで思えないからであるが、まあ理由は             それだけではなさそうだ。             「大麻は、真に大麻を求める人々にこそ与えられるべきもの             である」などと、聞いたようなことを言うつもりはない。だ             が、この国の人々に、いま本当に大麻が必要なのだろうか。              まず、ぼくのことを知らない人も多いかと思うので、簡単             に自分のことを書いておきます。              ぼくは東京生まれの四十九歳。東京オリンピックよりもっ             と昔、戦争が終わってまだ十年経っていない頃に生まれ、毎             日蓮の花の池に入って蓮の実を食べていました。蓮の花が極             楽の象徴だなんて、もちろんぜーんぜん知らなかった。              中学生になって、オーティス・レディングやジミ・ヘンや             ドアーズやクリームはリアルタイムで聴いていたけど、どち             らかといえば漫画を描いたり、天体望遠鏡で星を見ている方             が好きでした。              自分を拘束しているのは親と学校だけで、その二つから逃             れることができれば、自分は自由になれる、なんて甘い考え             を持っていた。              だから、毎晩のように親の目を盗んで自転車で夜の町を疾             走したり、新宿にアホな兄貴たちのデモ騒ぎを見物に行った             りしていた。              初めてガンジャを吸ったのは中学三年の新宿深夜喫茶での             ことで、コルトレーンもガンジャも、いったい何のことだか             さっぱりわからなかった。まだ、ぼくは暗闇の中にいたわけ             だ。              それからジャズという音楽をちょっと真剣に聴くようにな             り、ガンジャをやる回数も増えていって、その頃からぼくの             脳味噌の中も少しずつ変わりはじめた。稲垣足穂や、筒井康             隆や、植草甚一や、平野威馬雄や、日高敏隆や、コルタサル             や、谷岡ヤスジや、禅問答の本ばかり読んでいた。              そして、池袋のデパートの屋上から買ってきた小鳥の餌(大             麻の種)を剥いていた。残った種は近所の畑にぶち撒くんだ。             そうすると、秋になったら大麻が大木になる。              二十五歳のときに、町で拾った自販機のエロ本がきっかけ             で『Jam』とか『HEAVEN』といった月刊誌をズブの             素人の状態で作ることになり、やがてボブ・マーリーという             ジャマイカのミュージシャンに出会うことになった。場所は             新宿厚生年金会館。一緒にコンサートを観に行った友人は会             場の警備員に押されて足を骨折し、ぼくはバックステージで             ボブに会っていた。              その日、ぼくはボブとは何の約束もないただの観客だった             が、レゲエという音楽にかつてない霊的な共鳴感を感じてい             たぼくは、目の前で歌っている彼の姿に引き寄せられるよう             にしてバックステージに向かっていた。              たぶん、ほんの五分か十分ぐらいの出来事だったと思う。             勝手に楽屋へ入り込み、自分が作っている雑誌のこと、彼の             曲の歌詞について、あと何を喋っただろう・・・。下手な英語             をまくしたてるぼくに、彼は「お前は日本の本当の兄弟のよ             うに感じている」と言い、ぼくが渡したせんべいのお礼に、             両手一杯のガンジャをくれた。              そして、この体験が後になって重要な啓示だったことに気             づかされる。              自販機雑誌は二年でつぶれ、苦しまぎれに『メディアにな             りたい』という本を書いてみたが、世間はまるで相手にして             くれなかった。それでもしばらくは文章書きで食い繋いでい             たが、もうどうにもならなくなって競馬の予想屋や、雑貨屋             や、AV監督もした。              簡単に言ってしまえば、都会っ子にありがちなハネアガリ             の人生を歩んできたというわけだが、もともと「将来なにか             になりたい」という発想がなく、働かないで食べていくのが             理想的な人生だと思っていた。              文章を書いて食っていこうなどという気はもともとなかっ             たし、編集や写真や博打や旅行や、その他ありとあらゆるこ             とのプロにはなりたくない、と思った。              そして、それは今でも変わらず、歳をとって得たものはお             金と病気、失ったものは人気と自尊心、ただそれだけ。しか             し、いまから思えば、得たものも失ったものも、考えてみれ             ば、みんな要らないものばかりじゃないか。ぼくの生涯(マ             インドと言ってもいいかも知れない)を決定づけたボブの歌             や、中国の禅僧の言葉が、そのことを暗示している。              ぼくにとってボブの歌や禅の言葉は、中途半端な欲望を捨             てて暗闇から広い世界に歩み出す力の源だったというわけだ。              日本が寒くなったら南国に脱出してガンジャと甘い汁を吸             って過ごし、夏は東京で金魚に餌をやり、朝顔に水をかける             生活。お金と交換しない好きな仕事と、気楽な毎日を送るだ             けのシンプルな生活。ただそれだけがぼくの日常になった。              というようなわけで、さて、ぼくはこれからいったい何を             語るべきか?              禅、黒人音楽、ドラッグ・カルチャー、エロ本のニューウ             ェイブ、博打的人生、株の売買について、脳内リゾート開発、             ユダヤの陰謀、バンコクに会社を作る方法・・・。              さて、ではもう一度、ぼくが大麻解禁に反対する理由を考             えてみよう。              まず第一に、吸いたければ勝手に吸えばいい。これは基本             だ。それが合法であろうと違法であろうと、そんなことは知             ったことか。もちろん、法的に問題ない方がいいに決まって             いる。だけど、大麻より先に法律を求めてどうする。              混ぜ物の入った三流のガンジャをグラム数千円で売りつけ             られ、「あんまし効かない」なんて言っている馬鹿が、法的             に認められた環境で気持ちよくラリれるとでも思っているの             か。法律で認められるということは、法律で管理されるとい             うことだぞ。てめーらみたいな馬鹿が「大麻解禁」と一声上             げることが、日本のガンジャの質をどんどん落としていくこ             とに、どうして気づかないんだろう。              どうせやるなら、大麻解禁運動じゃなくて大麻よこせ運動             をやれ。              戦後数十年間、日本国民を洗脳してきた日本の政府や国家             に対して、「大麻解禁運動」などというあまりにも短絡的な             「直訴」をすることがどんなに不毛なことか、考えてみて欲             しい。そんなことより、「おれたちに足りないのは智恵とガ             ンジャだ」と認めたらいいのに、とつくづく思う。              大麻そのものについて考えてみよう。              ぼくは、まず大麻のことを「マリファナ」と呼ぶ奴らを信             用しない。大麻はもともとインディアンたちの、またはアジ             アの僧侶たちの喫煙植物だったはずだ。このあたりの事情は             岡倉覚三(天心)の『東邦の理想』や、中国のヒッピー坊主の             物語『臨済録』に詳しいが、ともあれ、大麻は日本の茶の湯             に匹敵する精神修養の「道」であり、確実に禁断症状を伴う             ドラッグなどではない。              大麻を「マリファナ」と呼ぶのは、商売のためにインディ             アンからガンジャの呼称利権を取り上げた白人たちだ。もと             もとインディアンが、そう呼んでいたからにすぎない。そし             て日本の大麻取締法も、「マリファナ喫煙」を独自の文化と             していたインディアンたちにうしろめたい気持ちを抱いてい             た白人たちや、白人に対するコンプレックスをアジア有色人             種への差別に転化した日本の執政者たちの悪魔的な意識から             発生している。              自己にやましい所がある者は、他人の自由をおそれる。マ             リファナをやっているときに「これは法律で禁止されている             ことなんだ」という意識を常に持たせること自体が大麻取締             法の目的だろう。そんな法律なんて、ない方がいいに決まっ             ている。              しかし、マリファナをジャマイカやアジアでの一般的な呼             称「ガンジャ」と認識すればどうだろうか。少なくとも、大             麻を「マリファナ」という呼称で闇雲に禁止しようとする前             近代的な国家的束縛からは逃れられるのではないだろうか。             「大麻は海外でやれ。日本では違法です」というという論法             は、「エイズが怖けりゃセックスするな」という論法に等し             いかも知れない。しかし、ぼくに言わせりゃ、いまや地球上             に国境などない。あるのは、エリアごとに決められた「法律」             という名の化け物だけだ。              たとえば、ぼくが年間四ヶ月ほど滞在しているアジアの某             国では、大麻の喫煙は法律で禁止されている。しかし、大麻             の喫煙者は国のいたるところにいるし、当然ながら、いたる             ところで簡単に手に入る。ちなみに、値段は一グラム二百円             程度だ。そして、その国の大麻喫煙者たちのあいだに「これ             は法律で禁止されていることなんだ」という意識があるとは             思えない。なぜなら、その国にはもっとハードな薬物類が大             量に出回っており、数十年も前から、そのことによる弊害が             山のように積もり積もっているからだ。そしてなにより、そ             の国の大麻喫煙者たちは、大麻が法律で禁止されるべき毒物             でないことを十分に理解している。つまり、この点こそが日             本と違うところなのだ。              日本は江戸時代から変わらぬ鎖国国家である、というのが             ぼくの認識だし、この国に民主主義なんてない、というのが             ぼくの主張だ。そんな国に「大麻解禁」などあり得るだろう             か。逆に、ぼくがさっき紹介したアジアの某国と、この日本             という国家の間に国境なんてない、と考えれば日本はすでに             大麻解禁国だし、また別の日本人にとっては、すでに大麻が             法的に解禁されているアムステルダムをはじめ、多くのヨー             ロッパ諸国と日本との間には国境などないのかも知れない。              必要なことは、精神的な国境あるいは国家国民意識を捨て             ることだと思う。              法的に解禁されれば値段が下がるし手に入りやすくなる、             なんていうイージーな考え方こそ、もっとも危険な国家主義             的思考だと、ぼくは思うのです。              なんだか、だらだらと長くなってしまった。              次回からは、もっと別のことを話そう。

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